時の過ぎゆくままに

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男は手馴れた様子で地下の駐車場に車を止めると、女をエスコートしてタワー内部へと入って行き、吹き抜け天井の格調高い洋風造りのロビーを通り抜け、エレベーターへと乗り込んだ。 二人以外には誰も乗っていないエレベーター内。 女は男より一歩下がった場所に立ち、言い様のない表情で男の左手の薬指を見つめていた。 会食の席で軽く食事をしていた二人は、直接最上階のバーラウンジに向かい、男が窓際の席を強く要望する事によって運良く座る事が出来たのが、現在女が腰を下ろしている港町の海岸線を一望する事が出来る窓際のソファー席であった。
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