プロローグ

2/5
前へ
/81ページ
次へ
○病院・医師の部屋  医師(加賀)と夫婦(叔父・叔母)が向かい合って座っている。  叔父と叔母は心配そうな表情をしていて、重苦しい雰囲気の中ゆっくりと加賀が口を開く。 加賀 「遥香ちゃんですが……もう一週間以上も何も話そうとしません。  身体的には、元々心臓が弱いようで、精神的なダメージから少し体調を崩してしましたが、それも回復しつつあります。  言葉を発しようとする事はあるのですが、声がうまくでないようで」 叔父 「そうですか……」 加賀 「あの年齢でご両親を一度に亡くされる様なことになってしまって、精神的なダメージは相当なものになるでしょう。  何か精神的なダメージを和らげるような事があれば良いのですが。好きな遊びだったり。何かご存知ありませんか?」 叔父 「そう言われましても……私たちも頻繁に遥香ちゃん達と接していた訳ではないので……」 加賀 「そうですか。分かりました。身体的にはもう何も問題はありませんので、あと2、3日様子を見て、退院出来ると思います」 叔父 「分かりました。ありがとうございます」 加賀 「それと……遥香ちゃんのお兄ちゃんの方は、元気ですか?」 叔父 「宏之くんですか……元気です。私たちも驚くくらい。もしかしたら無理してるのかもしれません」 加賀 「そうですか。歳が離れているとは言え、お兄さんの方も相当なショックを受けていると思います。   急に二人の子供を引き取る事になって色々大変だとは思いますが、二人の事、ちゃんと見てあげて下さい」 叔父 「はい……」
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加