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ぎぃーぎぃー…錆び付いた自転車の車輪が悲鳴を上げる。
明け方の丘の上の駅まで錆び付いた自転車が僕らを運ぶ。
「うらぁぁ!!」
駅までの坂道を精一杯自転車で漕ぐ、でもなかなか前に進まない。
「ほらぁ!もっとがんばって。」
後の彼女が明るい声で僕に声をかけた。彼女は今日僕らが住んでるこの町を去ってしまう。
本当は昨日行ってしまうのだったのだが、彼女がどうしてもあと一日いたいと言ったので昨日僕の家に泊まって、今朝電車でに行ってしまうのだ。
「あぁ!もう!ちょっと降りろって!押してよ!」
僕は精一杯叫んだ。もちろんそんなことで彼女が降りるわけもなく。
「ちょっ…前に集中してよ!転けるって!」
などと言って、一向に降りる気配はなかった。
ったく…お別れなのに何で当の本人こんなに明るいんだよ。
「ほらもうちょっとあと少しだよ!」
ほんと楽しそうに言うよな…。
がんばってるの僕なのに…。
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