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そう思いながら黙々と、進まない自転車を前に進めた。
明け方のこの町はチェーンの音以外聞こえないぐらい本当に静かだった。
そして君は僕に寄りかかってきた。
「…世界中に二人だけみたいだね。」
そう小さく呟いた…。
「はぁ……はぁ……」
息切れが止めどなく続く…。
「うーん疲れた!」
お前は漕いでないだろ……!!
声には出さなかった…っていうより出せなかった。
「うわぁ!」
そう君が歓声を上げる。すごく綺麗な朝日が昇ってきのだ。
優しい朝の光が二人を包む。
「あはは!すごい綺麗!」
君は僕の後ろで笑っていた、でも僕は振り返れなかった…
「ほら…行くよ……」
僕は泣いてたから…。
駅に入ってすぐにある券売機の前に立った。
「ねぇ…引っ越しってどこ行くの?」
「ん、一番端のところ。」
えっと…三好町?…どこだろう。よく知らない。
何県なんだろう…彼女は何度聞いても引っ越し先を教えてくれなかったからよくわからなかった。
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