20人が本棚に入れています
本棚に追加
──駆羽家
「ん? 小僧、ジークはどうした?」
フラッとリビングに現れたロキは、普段ならリビングか何処かで家事をしているジークが居ないことに気づき、桐斗に尋ねる。
「ジーク兄ちゃんなら、登山に行ったよ」
「……登山?」
「うん。ジーク兄ちゃんにも休みが必要でしょ?」
「ああ、そうか。……可哀想に。同情だけはしておいてやろう、ジーク」
鼻で笑いながら、ジークの不憫さを悟るロキ。
「……それ、どういう意味さ。ロキさん」
鼻で笑われた桐斗はイラッとした表情でロキを睨む。
が、ロキはそんなことなど気にせずにテーブルに置いてあった封筒を手に取ると再びリビングから出ていこうとする。
「あ、ロキさん! 何処に行くの?」
「俺が何処に行こうと小僧には関係ない」
「……まじかル~ンりんなちゃんの予約消すよ?」
その瞬間、ロキはピクリと反応し、リビングから出ていこうとする足を止める。
「…………招待ライブイベントだ。夕飯までには戻る」
そうロキは封筒を見せながら告げると、リビングから立ち去った。
「何だかな~」
相変わらず自由奔放なロキに唖然とする桐斗であった。
最初のコメントを投稿しよう!