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「私、実は南沢くんに拾われた後、二人で打開策を練っているときも絶対に私は元に戻れないと思ってたんだ。」
「それは……」
正直、驚いた。
自分が思っていたより、上坂は強くなかったのかもしれない
「でも、さっき南沢くんが無茶なことしたよね?あそこまで必死になってくれるなんて思わなかった、私はどうでもいい……とは思ってなかったけど、どうにもならないと思ってた」
「……。」
俺は何も言わなかった。言えなかった。
「でもさ、私が諦めてるのに南沢くんが頑張ってくれてる…なんかさ、自分が馬鹿らしくなってきて……」
気がつけば、自転車を押していた足が止まっていた。
「私、やっぱり元に戻りたいなって、南沢くんの行動を見てると、なんか思えたよ、だからごめん、ありがとう。」
元に戻りたい。
それが悲痛な願いだということは、普段、人の気持ちがわからない奴だと言われている俺でもわかった。
そして俺は上坂の役に立てたらしい、馬鹿な行動は無意味ではなかった。正直、嬉しいというよりホッとした。
更に上坂が続ける。
「それと、南沢くん」
「ん?」
「無理なお願いだと思うけど……」
「うん?」
上坂は何やらぶつ切りで言葉を発する。
「だから、その…お…お願いします、側に……側にいて……ください。」
え?
あれ?
うわぁ……!
やばい!やばい!やばい!
なんだこれ!?この込み上げてくる気持ちは!
これが萌えってやつなのか!?
っていうか、上坂さん?何をいきなり言い出すんですかッ!さっきまでシリアスなムードだったのに
「あ!え……えっとそういう意味じゃなくて……その」
……がっかりだ、凄く
「そ、そう私がまた挫けそうになったら……側にいて私を勇気付けてくれないかな?」
上坂ははっきりそういった。
泣きそうな声じゃない、はっきりと聞き取れる声で。
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