買ってきたCDについてきた思わぬ特典

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そんな願いを訊いて俺が断るわけないだろう? 答えは決まっていた。 「……うん、勿論。こんな俺でよければ」 すると上坂は明るい声で 「うん、ありがとうよろしくね」 とだけ言った。 あれ? なんか告白されてOKしたみたいな展開になってないか? やばい!急にドキドキしてきたぁぁぁぁあ! 「どうしたの?」 ――妄想終了 俺は一度咳払いをして上坂に言った。 咳払いをしたものの、まだ気分が高揚していた。 これはいつも俺が馬鹿なことをしでかす前兆である。 「あぁ、あと俺は上坂を励ますだけじゃないからな」 「え?」 さっきの(妄想時の)テンションを引き継いだまま俺はがらにもなく、キザな言葉を口にした。 「俺が上坂を元に戻すから」 …… …… …… ハイテンションのまま俺は暴走した。 頭が急に冷えた。 場の空気も冷えた。 冷たい風が俺と俺のショルダーバックの間を通過した。 死にたい、と思った。 なんと気持ち悪い台詞を口にしたのだろう? 今、カッコつけている俺はだれよりも気持ち悪い、そう自分で自分を批評した。 猛烈に後悔の念だけが襲いかかってきた。 「クスッ……」 っと背中から微笑が聞こえた。 「フフフ……」 それは次に笑いに変わった。 「アハハハ……アハハハ!」 そして大爆笑へと変わった。
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