第一章 溺れ者

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「俺も上京してきた身だ。けど友達作ろうなんて気はしなかった。」 「それ寂しいよ」 「仕事仲間だけで十分だ」 「仕事してるの!すごーい。どんな仕事?」 「それは秘密だ。」 「え~知りたい」 「さぁ話は終わりだ行った行った」 「じゃまたくるね」 「はいはい」 ふぅ…。仕事以外で疲れたくないね。 ─事務所─ 夕方、帰宅する前に事務所に寄る。 ガチャ。 ドアを開けるとクラッカーを開ける音がする パンッ。虚しくクラッカー1個が弾け 「誕生日おめでとう」 と棒読み口調で言いながら書類に目を通す坂上所長。 ひょっとして俺を祝ってるのか? 「ああ、一応部下だからな。たまたま誕生日を思い出して」 皮肉まじりに言う。 「そうですか、どうせ無愛想なら物の一つでもプレゼントしてくれればいいのに」 「私が祝ってやったんだ感謝してほしい」 「もういいよ…。で?仕事は?」 ここは小さい事務所。人探し物探し等を主に請け負う探偵業をしているところだ。と表はそうだが裏は能力者達が霊感商法的なことをしている。バックに警察を付け解決できない不可解な事件を請け負っている。と言っても味方の警察は一人。手柄をソイツに報酬をコチラヘという流れだ。 「何も。………猫探しが一件あるが…場所の詳細もわかる。私の足元の籠にいる。面倒なんでクライアントから連絡があるまで放置する」 と言い、籠を蹴って場所を示す。中から猫の鳴き声がする。 「連絡しろよ…。」 「前にも言ったが私のサーチ能力は表用の能力としてフル稼働してはいけないのだ。探し物をすぐに見つけてしまえば探偵という隠れ蓑の方が忙しくなって本業を疎かにしてしまうだろ。鳴雷、お前だって能力を持っていなかったらスカウトなんてしなかったんだからな」 所長の能力の一つサーチは実際、気配を消した相手を確実に見つけ出すものである。応用によって人探しなんかの探知機にしているが…。 「鳴雷、今日は学校で何かなかったか?道化師が飛んだり跳ねたり」 「そんなこと毎回起こるとじゃないでしょ」 俺はおもむろにズボンのポケットに手を入れる。 「…!」
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