第1章 『blue mallow』

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「いや……なんとなく、そんな気がしただけだよ」 「なんとなくって……」  理由になっていない。  今日の高久はどこか変だ。  葵は両脚をソファーに上げ膝を抱えた。 「ねえ、なんでそんなに涼子のこと気にするの? おととい、涼子が死んだって連絡あったときも、なんかヘンだったでしょ?」 「ヘンって?」 「なんてゆーか……やけに驚いてたってゆーか……」  あらためて聞き返されるとなんと言っていいか解らないが、どこか違和感を覚えた。  顔見知りが亡くなったのだから驚くのは当然だろうが、高久の驚き方はそれとは違うように見えた。  驚愕と言うより、狼狽しているようにさえ見えたのだ。  高久は葵を一瞥し、 「なあ……お前にもこなかったか? 四日前。このアドレスからのメール」  と、また意味の解らないことを訊いてきた。 「はあ? なんでそんな……」 「さっき、見覚えある気がするって言ってただろ?」 「それは……」  見覚えはあった。
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