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「いや……なんとなく、そんな気がしただけだよ」
「なんとなくって……」
理由になっていない。
今日の高久はどこか変だ。
葵は両脚をソファーに上げ膝を抱えた。
「ねえ、なんでそんなに涼子のこと気にするの? おととい、涼子が死んだって連絡あったときも、なんかヘンだったでしょ?」
「ヘンって?」
「なんてゆーか……やけに驚いてたってゆーか……」
あらためて聞き返されるとなんと言っていいか解らないが、どこか違和感を覚えた。
顔見知りが亡くなったのだから驚くのは当然だろうが、高久の驚き方はそれとは違うように見えた。
驚愕と言うより、狼狽しているようにさえ見えたのだ。
高久は葵を一瞥し、
「なあ……お前にもこなかったか? 四日前。このアドレスからのメール」
と、また意味の解らないことを訊いてきた。
「はあ? なんでそんな……」
「さっき、見覚えある気がするって言ってただろ?」
「それは……」
見覚えはあった。
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