1.目が覚めて

2/6
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/202ページ
「…ん」 目が覚めると見知った白い天井があった。まだ瞼が重く感じ、うっすらとしか目が開かなかった。 こういうとき程聴覚が敏感になるから困る。嫌でも話し声が入ってくんだよな…。 ほら、騒がしいのが聞こえてきた…。 「よ、やっとお目覚めかな。気分はどう?」 白衣を着た男が話し掛けてきた。 気安く話し掛けんなよ。また余計なことしやがって。 「『最悪』って顔してるね」 奴はニコリと笑いながら言った。 分かってんなら聞くなと思い、俺はそのまま奴を無視して寝ることにした。 「話す気はない…か。まっ、気が向いたら起きて来きなよ。それじゃ」 それだけ言い残し、奴は出ていった。 相変わらず騒がしいお節介だな。あっ、あれでも一応医者か。ウザいだけなんだがな。 それから暫くして外からこそこそと話し声が聞こえてきた。 どうせあの人だろと思った。
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!