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「なぁ太郎?なんか面白いことないか?」
「いやいきなりの無茶ぶりに答えるほど俺は凄くないぜ。」
日が傾き空を茜色に染めている。窓から入ってくる光は男同士でなければ、ロマンチックであろう。そんな時間の教室で、友人である斎藤昌之に話し掛けられていた。
「だよなー。お前って普通の中の普通だもんなー。ある意味お前の存在が面白いけど。」
失礼な。馬鹿にされているとしか思えない。いや、実際馬鹿にされてるんだろうけどさ。今まで生きて来た十六年の中でその台詞は聞き飽きた。
俺こと、田中太郎は名前は普通過ぎて逆に珍しい名前だ。過去の偉人とはなんの関係も無いから誤解するな。
まぁ確かに普通と言われざるおえないほど俺の中身は普通一色だ。あのパソコンの脳内○ーカーでは【普】しか無かったという記録まで残っている。
「で?まだ帰らないのか?」
いや、帰らないじゃない。帰れないのだ。この斎藤と言う奴は授業中にモン○ンをして「ヨッシャー!Gのウカ○ル倒したー!」と勝利の余韻に浸り、叫んでしまったため、反省文を書かされているのだ。阿保め。
「うっせー!いや、ごめんなさい。本当ゴメン!帰らないで!なんか一人教室で残るのって寂しいじゃん!」
「いや、だからってなんで俺が残るんだよ?」
「ッハ!家に帰っても普通のことしかしないお前ならたまには友人を待つということしたってよろしいんじゃないんでしょうか太郎様!」
弱い。
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