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ハの字のように中央部をタイクーン艦隊に喰い破られ、マホムッド提督は憤慨(ふんがい)の極みに達していた。
「ええいっ!! なんたる様(ざま)だ!」
マホムッド提督は深い溜め息を吐くと、諦めるように呟いた。
「……本体の横撃に温存しておきたかったが仕方がない」
マホムッド提督は副官へ新兵器投入の打診を促した。実用化されたのは10年程前の話だが、実戦投入は紛争レベルでも前例がない。
というのも小型化された反重力ジェネレータの消費エネルギーが思いの外多く、試作機のテスト段階で実稼働時間が僅か3分程度だったのである。
これは当初見込まれた稼働時間の10分の1で、作戦行動という枠には到底組み込めない短命さに軍関係者は落胆を隠せなかったという。
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