バフォート宙域戦 

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「火線を集中させろ!鑑列を乱すな!」  繰り返される激しい応酬の中、タイクーン中将は旗艦[ボルフェノク]艦橋にその怒声を響かせていた。  戦況はあきらかな消耗戦であり、両軍共近すぎる敵軍に混戦を回避しつつ、陣形を整えて応射するのが精一杯だった。  亜空間航法直後、縦に伸びていた鑑列が後ろから押されて壁にぶつけたような形で広がっていたため、互いが二等辺三角形のような形を取り、真上から見れば丁度ひし型のような形状になっている。  しかもお互いがディアムル宙域へと向かう傾向が残っていたためか、片方だけがやや間延びした形状となっていた為、まるでその姿は二対の槍か、はたまた宇宙を挟むシンバルのようにも見えた。
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