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凛はさやかの服を掴んで涙を流す。
まだ小さな子供だ。
いくらよく懐いているさやかの家とはいえ、両親を失ったばかりの凜に、不安がないはずがない。
隆志はそんな凛の背中をポンと叩いて言った。
「ひとりぼっちになんかさせないさ。一人になりたいって言ったって連れ回してやるからな。覚悟しろよ?」
凛はさやかの胸に顔をうずめたままコクコクと頷く。
それから10日ほどたった日、凛は退院した。
まだ完治とまではいかないものの、車椅子から松葉杖になり、嬉々として病院を後にする。
しかし凛は事故にあったことであらゆるトラウマができた。
車に乗ることが怖い。
血を見ると、全身に激痛が走る。
何か事故を思い出す要素があるものは、心身が拒んだ。
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