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その後、さやかは顔を曇らせた。
「……わたしは何もしてあげられなかったから」
「……どういうことですか?」
陸は戸惑いの表情で尋ねた。
「絵のこともそうだったけどね、凛がトラウマと向かいあった時、力になってたのは隆志だったから……」
さやかが自嘲気味に笑った。
「……僕はそんなことないと思います」
さやかはその言葉に驚いて陸を見ると、陸は微笑んでいた。
「僕も小さい頃に、母が他界しているんです。ちょうど、この病院でした」
「え?」
さやかは驚いて少し目を見開いた。
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