2831人が本棚に入れています
本棚に追加
すると、廊下に赤ちゃんの泣き声が響いた。
さやかと陸がキョトンとして声のした方を見ると、泣いている美月と、慌てた様子の凛が立っていた。
「あっ!姉さんオムツ!オムツの換え!早く!」
わたわたと騒ぐ凛を見て2人は声をあげて笑った。
「なに笑ってんの!」
笑っている2人を見た凛は、切羽詰まった様子で怒る。
「今行くから病室に戻って」
さやかは笑いをこらえながら凛にそう言うと、陸に向きなおった。
「ありがとう、白河くん。話を聞いてもらえてよかった。あの子のこと、よろしくね」
さやかの言葉に陸はニッコリ笑った。
「僕は凛くんの親友ですから」
「だから!早く来てって!」
凛の急かす言葉に2人はもう一度笑ってから、凛の元に向かった。
美月の泣き声と、慌てた凛の声が響く病院の廊下は
真っ白な壁を夕焼けに染められて、
優しく穏やかな赤の世界を作りあげていた。
最初のコメントを投稿しよう!