望まれた命

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それから日がたちお盆の少し前、凛たちは電車に乗って地元へ帰郷した。 両親の他にも、隆志の家族にも連絡しておいた。 長い時間電車に揺られ、夕暮れ時に地元の駅に着く。 さやかが美月を抱き、凛が荷物を持って改札口を通ると、その前にさやかの母親の矢吹 早苗が立っていた。 「お帰りなさい、さやか、凛」 「ただいま、お母さん」 「母さんただいま!」 少し淋しげで複雑な表情なさやかと、ニコニコしながら元気に挨拶した凛に、早苗はニッコリ笑った。 「この子が美月ね?」 「うん」 さやかが頷いたのを見て早苗は苦笑して言った。 「わたしもおばあちゃんか。ふふ、隆志くんとさやかの面影があるわね」 そう言って早苗は眠っている美月の頭を撫でる。
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