望まれた命

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さやかは居間に入ると苦笑した。 なぜなら先に入っていった早苗が、さやかの父の茂と隆志の父雄介を正座させてお説教をしていたからだ。 「飲んじゃダメって言ったでしょ!」 顔を真っ赤にして怒る早苗に、茂はあきらかに酔っ払った赤みがかった顔でしどろもどろにこたえた。 「いや、ね。ほら、飲まないとやってられないというか……。とにかく恥ずかしいんですよ!」 「そ、そうそう。あの時あれだけ反対しただけに、どんな顔して会ったらいいのかわからなくって……」 雄介も機嫌をうかがうように笑顔で言い訳をするが 「黙れ」 「「はい!」」 目を細めて見下ろす早苗の迫力に、茂と雄介は背筋を伸ばして返事をした。
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