望まれた命

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「……さやちゃんたちは駆け落ち同然で飛び出していったでしょ?」 律子が真剣な目でまっすぐさやかの目を見た。 さやかは申し訳なさそうに頷く。 「お父さんたちには何も言わずに出ていっちゃったからね。今考えれば、もっと話あえばよかったと思う」 「……そうだな。あの時は、お互いに納得しないままうやむやにしてしまった」 茂はそう言って凛を見た。 「そんな俺たちの間に入ってくれたのが凛なんだよ」 「……どういうこと?」 さやかの質問に早苗がこたえる。 「あなたたち、この子にだけは連絡先を教えていたでしょ?」 早苗の言葉にさやかは頷く。 「よく電話してくれたよ」 そう言ってさやかは凛の頭を撫でた。
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