望まれた命

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さやかは困った様子で早苗を見た。 早苗はニッコリ笑って言った。 「ほら、2人ともさやかが困ってるからそろそろ頭を上げて」 早苗の言葉に2人はようやく頭を上げた。 「さやか……」 茂が優しい声音でさやかに言った。 「いつでも帰ってきなさい。ここはお前の家なんだからな」 「……うん」 さやかはニッコリ笑って頷いた。 そしてその時目から一筋の涙が零れた。 「ほらほら、泣いてないで飲みなさい。潰れても二日酔いでも大丈夫よ」 早苗はそう言ってさやかのグラスに酒をそそいだ。 さやかはニッコリ笑って一口飲んだ。 そして凛を見て心の中で呟いた。 (本当に、……本当にありがとう、凛)
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