未来への贈り物

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「……それじゃあ」 凛は頷いて言った。 「美月が産まれた時にはもう」 陸が気まずそうな表情になったのを見て、凛は苦笑した。 「でも、姉ちゃんはそれを知ってて結婚したんだよ。だから変に気を使わない方がいいよ」 陸は少し考えてから言った。 「……そうだね。僕もそうだし」 「陸もって?」 凛が尋ねると陸は少し寂しそうに笑った。 「10年前の正月なんだけどね、母さんもともと体が弱くって」 「そっか……。陸も親を……」 凛は膝の上に美月をのせて言った。 「……凛くんほど辛くはなかったと思うけどね」
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