未来への贈り物

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さやかは涙を流しながら凛の言葉を飲み込むように何度も頷いた。 「ありがとう、凛……。わたしね、こんな光景を美月に見せてあげたいって思ってた。 でも隆志はもういなくて諦めてた。それを、凛が心を込めて描いてくれたんだね。 ありがとう……。 すごく、すごく嬉しいよ」 さやかはそう言って凛の描いた絵を抱きしめた。 凛は親指でさやかの涙を拭ってニッコリ笑った。 「さっ、ご飯食べよ。せっかく陸が作ってくれたんだしさ」 凛の言葉にさやかはニッコリ笑った。 「そうだね。こんなに美味しそうなんだし楽しみだよね」 そう言って、2人は笑顔で陸の作った料理を食べる。 笑いが零れるその時間は、 さやかが望んでいた 幸せの姿だった。
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