大きな右手

10/17
前へ
/374ページ
次へ
「ちょっと!もう、髪がぐしゃぐしゃじゃない」 さやかがムッとして隆志を恨めしげに見た。 「お前は1人で抱え込みすぎなんだよ」 「え……?」 隆志の言葉にさやかはキョトンとした。 「お前が思ってる以上にまわりは凜くんのこと気にかけてんだよ。お前たち家族だけじゃなくて、俺も、親父も、お袋も」 「わかってるよ……」 さやかはそう言ったが、隆志は首を振った。 「わかってない。だから1人で何とかしようとすんだよ」 「そんなこと……」 さやかはうろたえながら否定しようとしたが、隆志はまっすぐさやかを見据えて言った。 「そんなことないって言い切れるか?」
/374ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2831人が本棚に入れています
本棚に追加