大きな右手

11/17
前へ
/374ページ
次へ
さやかは隆志の真剣な目に何も言えなくなった。 「少しくらい頼れよ。……お前が思ってる以上に、俺はお前のこと心配してんだからな」 さやかはキョトンとしてからクスクス笑った。 「わたしの心配なんてしなくていいのに。隆志も心配性だね」 「家ついたな。ほら鍵開けて。凜くん部屋まで運ぶから」 「あ、うん」 家に入って凜をベッドに寝かすと隆志は帰ろうとして、さやかは玄関まで見送りに行った。 「ありがとね、隆志」 「いや、かまわないぞ。……それよりさっきの話だけどな」 「さっきの話って?」 さやかが尋ねると、隆志は言いにくそうにしていた。
/374ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2831人が本棚に入れています
本棚に追加