親友の涙

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「そっとしとけって……。どう見ても陸普通じゃないだろ?」 凜はそう言って陸に視線を戻した。 その時、ちょうど陸は立ち上がって体育館を出ていくところだった。 「あっ!おい、陸!」 凜が慌てて陸の後を追おうとすると、袖を掴まれた。 凜が不機嫌そうに振り返ると、渚が下を向いて涙を堪えて凜の袖を握っていた。 「……わたしたちが説明するから……だから今は追いかけないで」 凜が戸惑いながら海を見ると、海は視線を外すように目を閉じた。 「……頼む」 凜はわけがわからず辺りをキョロキョロして、少し考えるように間をおいてため息をついた。 「……わかった。でも話の内容次第じゃ追いかけるよ?」 「……悪いな」 海はそう言って力なく笑った。
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