親友の涙

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中庭に着くと陸を見つけるのは難しくなかった。 中庭には陸1人しかいなかった。 陸はベンチに座り、雪の降る空を見上げていた。 「陸……」 凜が後ろから近付きながら声をかけると、陸は少し間をおいてゆっくり振り返った。 「凜くん……メリークリスマス」 そう言って陸は笑った。 ただその笑顔はいつもの陸と違い、悲しげで目がうつろだった。 凜はそんな陸に目をそらしそうになったが、ギュッと拳を握って思い止まった。 「……隣、いいか?」 凜の言葉に、陸は少し右にズレることで了承した。 凜は一度深呼吸して陸の隣に座り、正面を見ながら話しかけた。 「……あのさ、陸の兄さんから話聞いたよ」 「……そっか」 陸は苦笑して、一度ため息をついてから空を見上げた。
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