2831人が本棚に入れています
本棚に追加
中庭に着くと陸を見つけるのは難しくなかった。
中庭には陸1人しかいなかった。
陸はベンチに座り、雪の降る空を見上げていた。
「陸……」
凜が後ろから近付きながら声をかけると、陸は少し間をおいてゆっくり振り返った。
「凜くん……メリークリスマス」
そう言って陸は笑った。
ただその笑顔はいつもの陸と違い、悲しげで目がうつろだった。
凜はそんな陸に目をそらしそうになったが、ギュッと拳を握って思い止まった。
「……隣、いいか?」
凜の言葉に、陸は少し右にズレることで了承した。
凜は一度深呼吸して陸の隣に座り、正面を見ながら話しかけた。
「……あのさ、陸の兄さんから話聞いたよ」
「……そっか」
陸は苦笑して、一度ため息をついてから空を見上げた。
最初のコメントを投稿しよう!