親友の涙

8/15
前へ
/374ページ
次へ
凜は力無く笑う陸に何か言わなければと思ったが、言葉が出てこなかった。 すると陸が空を見上げたまま話しだした。 「僕ね、学院祭の頃からずっと好きだったんだ。 彼女が笑ってると嬉しくなった。 彼女が困ってると焦った。 彼女がそばにいると幸せだった。 ささいなことでも、ドンドン彼女を好きになったんだ」 陸は優しい目で笑いながら話していた。 凜は何を言っていいかわからず、ただ黙って話を聞いていた。 「それが突然フランスだって。遠いよね?……好きですって、伝えたかったな」 「じゃあ今からでも……!」 凜は陸の肩を掴んでそう言ったが、陸は自嘲気味に笑って首を振った。
/374ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2831人が本棚に入れています
本棚に追加