親友の涙

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そして陸は空を見上げ、涙をこらえるように目を閉じた。 「今告白するのは、彼女を困らせるだけだよ。……僕は、湊ちゃんに笑っていてほしいから……言えないよ」 陸の様子を見て凜は何も言えず、喉が渇いていった。 それでも、陸が隆志のことで涙を堪えているさやかとダブり、なんとか言葉をかけた。 「……陸、おもいっきり泣いた方がいいって」 しかし陸は首を振った。 「僕が、僕以外の人もだけど、泣いちゃったら湊ちゃんが困っちゃうよ」 そう言って陸は大きく白い息をはいて目を開いた。 「おおげさかもしれないけど僕は彼女の笑顔が好きだから、それを守りたいんだ」 「守る……?」 陸はニッコリ笑って頷いた。 「でもやっぱり、僕は告白しなかったことを後悔してる。だから、凜くんにもそんな人がいたら後悔しないようにね?」
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