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「そっか、そんなことがあったんだ……」
凜から話を聞いたさやかはため息まじりにそう呟いた。
「陸はさ、伝えたい気持ちを伝えられなくなった。いつ、なにがあるかなんてわからないって思い出したら姉ちゃんに好きって言わないとって思ったんだ……」
凜の言葉を聞いて、さやかは淋しそうに笑った。
「そうだね……。わたしも凜のこと好きだよ」
凜もさやかと同様に淋しげに笑って頷いた。
「陸はさ、そのコの笑顔を守りたいって言ってた」
凜がコーヒーの入ったコップを見つめながら言うと、さやかは陸らしい優しさとその陸の悲しみを考えて複雑な表情で笑った。
「……白河くんらしいね」
凜は1つため息をつくと、さやかの瞳を真っすぐ見つめてゆっくりと、一言一言に想いをのせて言った。
「俺は姉ちゃんと美月の笑顔を守りたい。俺なんかじゃ隆志さんの代わりはできないだろうけど、俺なりに守ってみせるから」
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