想いと決意

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それから8日間、陸は結局学院にやってこなかった。 陸がきたのは雪花展の締め切り当日だった。 凜は部活に向かう途中の廊下で陸の背中を見つけ、嬉しくなって駆け寄った。 「陸!久しぶりぃ!」 凜は陸が笑顔で振り返ると思っていたが、陸は聞こえていないかのように反応しなかった。 「……?お~い、陸ぅ?」 凜は陸の前に回り込んで顔を覗き込んだ。 すると陸はビクッと体を硬直させて驚いた。 「……!り、凜くん!?」 陸は胸に手をあてて数回深呼吸すると、耳から何かを外した。 「……イヤホン?何聞いてたの?」 凜が尋ねると、陸は言いにくそうに苦笑して答えた。 「えっと……、外国語の勉強をしてて……」 「ふぅん……。まぁ学校休んでたし、成績優秀で真面目な陸にしたら当然か」 凜が笑いながらそう言う陸はかわいた笑いをこぼした。
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