想いと決意

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凜は一瞬陸が何を言っているのかわからなかった。 凜の知っている陸は積極的とは言えず、むしろ引っ込み思案だった。 その陸が好きな女の子に、しかも付き合っているわけでもない女の子に会うために外国に行くなんて想像すら出来なかった。 「……えっと、絵の勉強のために行くんだよな?」 凜は一応確認のために聞くと、陸は首を振った。 「それは建前だよ。……僕は告白しに行くためにフランスに行くんだ」 凜はポカンとして海と渚を見た。 「……マジ?」 凜が尋ねると、海と渚はニカッと笑って頷いた。 「……そっかぁ。陸はあのコの為に絵を描いたんだな?」 凜が尋ねると、陸は顔を赤らめてニッコリ笑って頷いた。 すると凜は陸に肩を組んでニカッと笑った。 「よくやった!……でもフランス語大丈夫なのか?」 凜が尋ねると、陸はいつものウォークマンを取り出した。 「勉強中。少しくらいなら話せるようになったよ」 陸の言葉を聞いて、凜と海はニヤニヤ笑って声を揃えて言った。 「「愛だなぁ」」
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