自覚と戸惑い

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陸は苦笑して「慣れてるから」と言って凜の背中をさすり続けた。 その後、ある程度吐き気が落ち着いたところで、陸が作ったお粥を食べて二日酔いの薬を飲んだ。 だるさこそ残っても、体から出ていたアルコールの臭いも消え、電車の振動にも耐えられそうになったのは午後3時を回った頃だった。 陸は陸で留学の件で学院に行かなくては行けなかったらしく、学院のある駅まで2人で行った。 その駅で陸と別れ、重い足どりでマンションに着いたのは結局4時近くになっていた。 「ただいまぁ……」 凜はまだ完調とは言えず、だるそうに言うとさやかが苦笑して言った。 「おかえり。さっき白河くんから電話があったけど、二日酔い辛いみたいだね」 「……電車の小刻みな揺れが効いた」 凜はそう言って、冷蔵庫から烏龍茶を取り出してコップに注いだ。
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