自覚と戸惑い

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でもそれは家族として、姉と弟の関係でだった。 たしかに本来は従姉弟だが、一緒に過ごした時間は本当の家族と同じだったし、今では家族でいた時間の方が長い。 「……やっぱり、わかんないな」 さやかは凜にとって姉。 それは間違いなかった。 「じゃあ、なんであの時嫌だって思ったのかな……?」 さやかと陸が抱き合う想像をした時、たしかに嫌だと思った。 酔っていたからかと思ったが、今も思い出すだけで胸がモヤモヤした。 その時、ふと別のイメージがわいた。 さやかと抱き合っているのが、陸ではなく凜。 凜は顔に熱がこもるのを感じた。 『恥ずかしいから?』 違う。 この街にやってきた日、駅でさやかに抱き着いた。 恥ずかしいなんて思わない。
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