自覚と戸惑い

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「大丈夫?」 凜の横までやってきたさやかが腰を屈めて尋ねると、凜は慌てて頷いた。 「考え事してただけだから大丈夫だって!」 「そう?ならいいんだけど」 さやかはそう言って立ち上がってドアの方に向かった。 ズキッ 凜の胸に鈍い痛みが走った。 そして気付いた時には凜は後ろからさやかを抱きしめていた。 「えっ?あっ、ちょっと、凜?」 突然のことにさやかは動揺した。 そんなさやかに気付いて、凜は慌てて離れた。 「ご、ごめん!」 あたふたしている凜に、さやかは苦笑して向きかえった。 「……どうしたの?」 凜は動揺しながら、さやかから目をそらして答えた。 「えっと……、姉ちゃんがいなくなると思ったらつい……」
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