旅立ちの日に

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昼食を終えると、凜は陸と2人で陸の部屋に向かった。 部屋は片付いていて、部屋の真ん中にイーゼルがおかれ、そこに真っ白なキャンバスがかけられていた。 教科書や参考書が綺麗にしまわれている本棚に近付くと、そこの1番上の段全てにスケッチブックがしまわれていた。 「スケッチブック見てもいい?」 凜が尋ねると、陸はニッコリ笑って頷いた。 凜はその中から一冊取り出してパラパラ目を通した。 タンポポ。 猫。 公園。 桜の木。 陸らしい素朴な題材の絵が描かれていた。 「陸って花とかよく描くよなぁ」 凜がスケッチブックを見たままそう言うと、陸は苦笑して頷いた。 「僕はそういう身近なものを描くのが好きだから」
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