旅立ちの日に

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陸が乗った電車が見えなくなると、渚は微笑んで言った。 「ホントに、りっくんって凄いよね……」 その言葉に海が頷いた。 「俺の自慢の弟だからな」 凛もニッコリ笑って頷いた。 「俺も、自慢の親友だよ。……ホントに負けてられないなぁ」 渚がクスクス笑った。 「矢吹くんはりっくんのライバルだね」 その言葉に凛は苦笑した。 「今の時点じゃ負けてるなぁ」 「あの絵は陸1人で描いてないからなぁ」 海がしみじみと言った。 「どういうこと?」 さやかが尋ねると、海はニヤッと笑って答えた。 「陸は湊のために描いた。つまり陸1人の力で描いたわけじゃないってことっすよ」 「……絵のこと詳しいの?」 凛が尋ねると、海は笑って首を振った。 「絵なんか全然わかんねぇって。でも陸のことは誰よりも知ってる。なんせ生まれる前から一緒だったんだからな」
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