旅立ちの日に

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その後海たちは家に戻り、凛たちもその足で電車に乗った。 「『生まれる前から一緒』かぁ。 仲がいいっていうか、凄い絆だよね?」 さやかがそう言うと、凛は大きく頷いた。 「陸も海の話をしてる時はいつもニコニコしてたよ」 「なんか想像できるね」 さやかはクスクス笑った。 凛もつられて笑ったが、電車の天井を見上げて大きく息をはいた。 「……でも『1人で描いてない』かぁ。俺は、1人で描いてるのかなぁ……」 さやかは少し驚いた表情になったが、凛と同じように天井を見上げて微笑んだ。 「わたしも絵のこと詳しくないけど、今日の白河くんを見ててその言葉にちょっと納得しちゃったよ。 きっと、白河くんは凛が持ってない何かを持ってるんだろうね」 「……好きな人がいること?」 凛が尋ねると、さやかは苦笑して首を振った。 「わからないけど違うと思うな。それはきっかけなんじゃないかな?」
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