答え

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この日、凛は学院の窓から見える桜並木を描いていた。 鼻歌まじりに筆をすすめていると、顧問の東に声をかけられた。 「ずいぶんご機嫌だね」 その言葉に、凛は頷いた。 「昨日、陸から電話がきたんですよ」 すると、美術部員たちが一気に近付いてきた。 「陸って、雪花展で金賞取った白河 陸先輩ですよね!?」 「白河くんなんだって!?」 「元気そうだった!?」 凛は部員たちの勢いに驚きながらも、ニッコリ笑って答えた。 「陸は陸のまま、楽しくやってるみたいだよ」 凛の言葉に、部員たちは部活そっちのけで陸の話をし始めた。 去年までの部長と違い、今年の部長はそれほど厳しくなく、東も絵は楽しく描くものというのが持論だった。 だからその盛り上がりをとめる人間はおらず、結局下校時間まで陸の話で持ち切りだった。
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