重荷

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しかし描かれていたのは一輪のタンポポの花。 そしてその前で楽しそうに笑っている美月だった。 「……どう、かな?」 凛がおずおずと尋ねると、さやかはハッとなって頷いた。 「すごくいい絵だと思うよ。……でも、海の絵を描いたと思ってたから驚いちゃった」 すると凛は照れたように笑った。 「まだ、海の絵は描かないよ」 「……どうして?」 キョトンとしてさやかが尋ねると、凛は自分の絵を見て答えた。 「俺1人じゃ描けないから。あの海が見られたのは、お父さんとお母さんが一緒だったからだってわかったんだ」 そう言って、凛はさやかの方を向き返ってニッコリ笑った。
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