重荷

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「大好きだったお父さんとお母さんと一緒で、心から楽しいって思ってたから見られた海なんだ」 「……そっか」 さやかはそう呟いて、もう一度凛の絵を見た。 「この絵は、姉ちゃんと美月が一緒で、心から楽しいって思ってた時間の絵。『今』の絵なんだよ」 そう言って、凛は美月を片腕で抱き直した。 そしてあいた方の手で、さやかの手を握った。 「そして俺が描きたい海は、『今』と『未来』の姉ちゃんも一緒じゃないと描けないと思うんだ」 「凛……」 さやかは戸惑った表情を浮かべたが、凛はさやかを安心させるようにほんの少し、握った手に力をこめて笑った。 「ゆっくり、少しずつ、1歩ずつ、一緒に歩いていこうよ」
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