重荷

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すると、さやかは目に涙をためながら頷いた。 「ありがとう……。凛は、強くなったね……」 その言葉に、凛は首を振った。 「俺が強くなったんじゃないよ。俺『たち』が強くなったんだよ」 さやかは少し戸惑いながら凛を見た。 すると、凛は美月を見ながら言った。 「美月のおかげで気付いた。姉ちゃんがいたから前を向けた。俺1人の力じゃないよ」 そして凛はさやかに視線を戻して笑った。 「いつも一緒にいるから、……1人じゃないからね」 その言葉にさやかは涙をこらえられなくなって、美月をはさんで凛に抱き着いた。 そして凛はさやかの頭を優しく撫で言った。 「姉ちゃんは、泣き虫だよね」 さやかはコクコクと頷いた。 「ご、めん……ね……」 そして凛は、撫でていた手を背中にまわして優しく抱きしめた。 「でも、そんな姉ちゃんが俺は大好きだよ」
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