重荷

17/20
前へ
/374ページ
次へ
海は苦笑して頷いた。 「陸が怒鳴られたのは2回しかなくて、その時が初めてでした。あの時は驚いたもんスよ」 そう言うと、海は懐かしむような目で言った。 「陸は引っ込み思案だから、イジメとまではいかなくても、からかわれたりすることが多かったんスよ。その度に俺が助けてました」 そこまで話すと、海は凛の方を見て言った。 「それで陸に怒鳴られた時、2人で決めたんスよ。 『お互い重荷になってるって思うのはしかたない。だから相手に背負わせてる分、お互いの重荷を背負いあおう』 って」 さやかは海の言葉を飲み込むように呟いた。 「……背負いあう」 すると、海はニカッと笑って言った。 「俺は、さやかさんと凛が背負ってるものは知らないけど、そう考えた方が前向きじゃないっスか?」
/374ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2831人が本棚に入れています
本棚に追加