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凛は電車を降りると、走ってマンションに帰った。 マンションに着いた頃には息がきれ、汗を流して立っているのもやっとだった。 「た、ただ、いま……」 凛がリビングのドアをあけると、さやかが目を丸くした。 「凛、今日は海くんのうちに泊まるんじゃなかったの?」 そう尋ねられて、凛はニッコリ笑って頷いた。 「陸と、電話で、話して、今、姉ちゃんと、話したいことが、出来たから」 肩で息をしながらそう言うと、さやかは困ったような表情でタオルを渡した。 「ほら、汗を拭いて。シャツだけでも着替えてきなさい」 すぐにでも話をしたかったが、夏の暑さもあって汗がとまらなかったので言われた通り着替えに部屋にむかった。 そして部屋の中から服や画材など、生活に必要なものをまとめ始めた。
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