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そう告げると、凛は立ち上がった。 「凛……!」 さやかは立ち上がることが出来ず、ただ手を伸ばすことしか出来なかった。 そんなさやかに、凛は寂しそうに笑いかけた。 「さやかさんの中で俺は弟だってわかってる。だから、すぐに返事は聞かない。 ……わがままだってわかってる。それでも、いっぱい考えてみてほしいんだ」 そう言うと、凛は部屋にまとめた荷物を持った。 「……返事、出来るようになるまでは会わないから」 そう言ってリビングのドアに手をかけて、一度だけ振り返ってさやかの背中に告げた。 「さようなら、 ………大好きな姉ちゃん」
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