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『もしもし……さやかさんですか?……陸です』 「あ、あぁ、陸くん……。どうしたの?凛は――」 いないとは言えなかった。 怖かったから。 さやかが言葉を飲み込むと、陸は悲しそうな声音で尋ねた。 『僕のこと……恨んでますか……?』 その言葉に、さやかはキョトンとした。 「え……?どうして……?」 『今の状況を兄さんが教えてくれました……。 僕が凛くんに言ったことがきっかけですから……』 「あ……」 たしかにそうだと思った。 陸と話したことがきっかけで、凛は考えたと言っていた。 恨んでいてもおかしくない状況とも言えた。 しかし、さやかは電話の向こうで悲しそうな表情をしているだろう陸に首を振った。 「凛が考えて出した答えだもの。陸くんを恨むのは筋違いよ」
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