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「今、先生の話を聞いてきたわ」
母の早苗が茂の後ろで沈痛な表情で言った。
「……それで?」
さやかが恐る恐る尋ねると、茂がさやかの隣に座って言った。
「体の方はもう大丈夫だそうだ。
傷が残ることもあるだろうが、障害は残らないらしい」
「そっか……」
さやかは凛の顔を見る。
髪は刈られ、包帯でぐるぐる巻きにされていた。
顔は腫れ上がり、あちこちにガーゼが貼られていた。
頭から額にかけて、大きな傷があったと聞いていたため、何らかの障害が残るのではと心配していたが、安堵することができた。
「……体、ちゃんと治るって。
よかったね、凜」
さやかは凛に笑いかける。
しかし、相変わらず凛は反応を示してくれない。
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