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そんな凛の様子に、早苗が耐え切れなくなり涙を流し始めた。
茂もまた、そんな早苗の肩を抱いて、涙をこらえていた。
「……どうしたの?」
さやかは様子のおかしい2人の答えを聞くことに恐怖を感じる。
しかし、それを尋ねずにはいられなかった。
「どんなささいなことでもいい。
一度でもお前の声に、凛は反応したか?」
茂の問いに、さやかは黙って首を振る。
「ずっとらしい」
「え……?」
「目を覚ますことも比較的早かったそうだが、誰の声にも反応しないらしい……」
「……どう、いうこと?」
「……救助されるまでずっと両親の手を握って、呼びかけ続けていたらしい。
だんだん冷たくなっていく両親と体の痛みに、……あまりに残酷な現実に、凛は心を閉ざしてしまったんじゃないかって」
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