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「……どういうこと?」
「目にうつる物、聞こえた音、触れた感触。
世界の全てを否定して、自分の心を守ろうとしているそうだ……」
「凛、大丈夫なんだよね!?」
さやかの悲痛な叫びに、茂は沈痛な表情で言った。
「……これといった確実な治療法はないらしい」
「じゃあどうしたらいいの!?
凛がこのままなんて、そんなのひどすぎるよ……。
凜が何をしたの……?
凜はすごくいい子なのに……!
何で凜がこんな目に合わなきゃならないの!?」
さやかはもう涙を堪えることができなかった。
茂はさやかの肩に両手を置いて言った。
「どんなに反応がなくても、それでもひたすら凛に呼びかけ続ける。
それが凜のためにできることで、1番の治療法だそうだ」
「……でも」
「それがどれだけ辛くても、1番辛いのは凛なんだ。
学校もギリギリまで休んで……いや、留年したってかまわない。
凛を支えてやろう。
凜にはもう、頼れる親がいなくなってしまったんだから」
茂の言葉に、さやかは涙を流したまま何度も何度も頷いた。
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