2831人が本棚に入れています
本棚に追加
そこまで話すと、さやかは内に溜まった感情を吐き出すように、大きくため息をついた。
「わたしたちのお父さんは兄弟だったの。
だから、凛をうちの両親が引き取った……」
「あの……、じゃあ凛くんとお姉さんは従姉弟……?」
「血の繋がりではそうね。
でも、事故の前にはうちと凛のうちは近くて、赤ちゃんの頃から面倒を見てたから、姉弟みたいな感覚はずっとあったかな」
さやかは持っていた缶の紅茶を一口飲んでから、続けて言った。
「事故の後の凛は存在自体が希薄に感じるくらいだったの。
あのままだったら内臓が弱っていって、そのままダメになってしまうって、お医者さまは言っていたわ」
「……正直、想像できません。
僕は、いつも笑ってて、みんなを楽しませる凛くんしか知りませんから……」
「……そうね。
本当に、元気になってくれてよかった」
「……凛くん、どう今みたいになったんですか?」
「わたしの幼なじみがね、協力してくれたの。
彼も凛のこと可愛がっていて、本当の兄弟みたいだったから」
そう言うと、さやかは続きを話し始めた。
最初のコメントを投稿しよう!