壊れた心

9/19
前へ
/374ページ
次へ
そこまで話すと、さやかは内に溜まった感情を吐き出すように、大きくため息をついた。 「わたしたちのお父さんは兄弟だったの。 だから、凛をうちの両親が引き取った……」 「あの……、じゃあ凛くんとお姉さんは従姉弟……?」 「血の繋がりではそうね。 でも、事故の前にはうちと凛のうちは近くて、赤ちゃんの頃から面倒を見てたから、姉弟みたいな感覚はずっとあったかな」 さやかは持っていた缶の紅茶を一口飲んでから、続けて言った。 「事故の後の凛は存在自体が希薄に感じるくらいだったの。 あのままだったら内臓が弱っていって、そのままダメになってしまうって、お医者さまは言っていたわ」 「……正直、想像できません。 僕は、いつも笑ってて、みんなを楽しませる凛くんしか知りませんから……」 「……そうね。 本当に、元気になってくれてよかった」 「……凛くん、どう今みたいになったんですか?」 「わたしの幼なじみがね、協力してくれたの。 彼も凛のこと可愛がっていて、本当の兄弟みたいだったから」 そう言うと、さやかは続きを話し始めた。
/374ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2831人が本棚に入れています
本棚に追加