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「……ありがとう。
凛のためにわざわざそんなことしてくれて」
「さっきも言ったろ?
凛くんは俺にとっても弟なんだって」
「……うん」
「それに、お前のこともあるしな」
隆志の言葉に、さやかは思わずキョトンとする。
入院しているのは凜で、さやかはどこも悪くないのに何故心配されるのか分からない。
そんなさやかに、隆志は半ば呆れた様子で言う。
「お前、1人で思い詰めるとこあるからな。
倒れるまで自分に余裕がないって気付くことさえないだろ」
「そんなこと……」
「ある。俺に昨日連絡しなかったのがその証拠だ」
隆志の言葉にさやかは俯く。
隆志は凛のことを可愛がっていて、今回のことですごく心配していたことは知っていた。
それなのに連絡をしなかったのは、そこまで気が回らなかったからだ。
たしかに、余裕なんてどこにもなかった。
「……ごめん」
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